しゃぼんだま

テニプリ リョーマ視点SS
特別出演(笑)は不二先輩＆菊ちゃん。
初めて書いたものです。

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ご感想なんていただけたら、とっても嬉しいです。

ふわりふわふわ
風に吹かれて


あの人のところまで




『しゃぼんだま』




「お～い、おチビ！なにしてんの～？」

聞き慣れた賑やかな声に、俺は仰向けに寝転んだまま視線を向ける。

「やぁ、越前。こんなところで昼寝かい？」

菊丸先輩…それに不二先輩

「…別に」

ただぼんやり空を眺めてた。…なんて言えなくてそう答えた。

「先輩たちこそ二人揃って‥‥ってそれ何スか？」

「英二がね、一緒にやろうって言うもんだから…」

「へっへ～♪おチビもやる？」

菊丸先輩の首に掛けてあるのは、クマの形のしゃぼんだま容器。
その帽子をくるくるっと脱がせると、
出てきた輪っかにフーッと息を吹き掛けて器用にしゃぼんだまを飛ばす。

「…いらない」

俺は再び視線を空へと戻した。



ふわり…ふわふわ


「あはは。英二、上手い上手い」

「キレイだにゃ～♪ほら、不二もやってみ？」


ふわり…ふわふわ



先輩たちの楽しそうな声を聞きながら、
俺は突き抜けるような青い空と、無数のしゃぼんだまを眺めていた。





このしゃぼんだまって…

どこまで飛んで行くんだろ？





「…先輩。ちょっとそれ貸して」

「なんだ～。やっぱおチビもやりたいんじゃん！」


クマを受け取ると、先輩たちに顔を見られないように背中を向けて、
しゃぼんの液でキラキラ光る輪っかをじっと見つめる。

そしてありったけの想いを込めて‥‥
俺はたくさんのしゃぼんだまを飛ばした。




「…越前？」

「…おチビ？」


「ん？何でもないっスよ。はい、先輩…ありがと」


クマを返すと俺はまた空を見上げる。



ふわり…ふわふわ


言葉に出来ないこの気持ち

どこまでも飛んで行くたくさんのしゃぼんだまに込めて



届くといいな

割れることなく
消えることなく

ふわりふわふわ
風に吹かれて


あの人のところまで




この想い、届きますように





END.